女子神職教養研修会
7月3日、神社本庁において
神社本庁総合研究所
平成26年女子神職教養研修会が
全国女子神職協議会の主催で行われました。
集まった女子神職は
全国各地から総勢147名。
開講式の後
3人の講師の先生から
一時間ずつお話を拝聴しました。
講義一
京都大学名誉教授
元京都大学総長
前国立国会図書館館長
長尾 眞先生
「神道と私」
長尾先生は滋賀県の御上神社の
ご子息として生まれましたが
戦後の混乱期に「自分の好きな道に進みなさい」
というお父様の助言で神主にはならず
学問の道に進みました。
コンピューター工学を
ご専門とされ、郵便番号を
コンピューターで読み取るシステムや
防犯カメラなどでも利用される
画像から人の顔を認識するシステムや
今携帯電話にも利用されている
言語をコンピューターに
聞き取らせるシステムの開発など
された方です。
その長尾先生のものの見方、
考え方の根本にあるものは
地球規模の共存共栄であり
その中で日本人として
果たせる役割とは
というお話。
定年後神職を志ざそうと思いながらも
次々と名誉職に着つくことになり
神職資格の取得年齢の上限である
75歳を超えてしまい
資格は取れなかったそうですが
娘さんが神職となり
今日もここに来ていてとても嬉しいと
おっしゃっていたのが印象的でした。
講義二
元宮内庁式部職楽部首席楽長
十二音会代表
豊 英秋先生
神楽舞 神宮式年遷宮によせて
「河水久澄(かすいきうちょう)」
昨年行われた神宮式年遷宮によせて
豊先生が作舞された「河水久澄」という
神楽舞についてのお話でした。
「喋るのに困ったら奏でます」
とユーモアを交えつつ
節々で和琴を奏でながら様々な曲や
歌を紹介して下さいました。
ドビュッシーが和琴に影響を受けていたこと、
(亜麻色の髪の乙女など)
そんなドビュッシーの影響を受けた
デューク・エリントンという
ジャズピアニストの話を例に取り上げながら
和琴の素晴らしい音色は
世界でも認められていること。
ピアノやバイオリンも演奏される
豊先生の広く深い雅楽と音楽の経験を元にした
講義はまるでコンサートのようで
会場からは豊先生の演奏と美声にため息がもれるほどでした。
講義三
出雲大社権宮司
千家 和比古先生
「出雲大社の御遷宮をめぐって」
出雲大社は60年に一度
御遷宮を行いますが
昨年がその年でした。
60年も間があくと
技術の伝承が難しく
出雲独自の建築技術を
引き継ぐことの苦労話
御遷宮の意義とは
始めて何かをしようとした時の思い
・「初発の思い」を再度誕生させること。
(例えば、結婚、子供の誕生、企業の経営、
組織団体の運営など。)
・喜びと理想と活力を呼び覚ますこと。
・起源を継承することで
有限を永遠化するということでした。
このような御遷宮に関するお話を
スライド上映でわかりやすく
ご説明いただきました。
主婦を兼ねる神職にとって
日々の喧騒の中で
教養を深める研鑽を
継続して行うことは
簡単なことではありませんが、
周囲の協力をいただき
有意義な研修に
参加することができました。
この感謝の思い、始発の思いを忘れることなく
日々の奉仕に励みたいと思います。
権禰宜 早川