三浦半島唯一学問の神 久里浜天神社
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天神様菅原道真公のお話
第三話
其の②学者の家【前編】
父、是善は、我が子の誕生の喜びをかみしめ、息子ををしっかりと育てようと決意したのでした。


生まれた男の子には、 阿呼(あこ) という名前がつけられました。阿呼の父 是善(これよし) は、阿呼が三つになった年、東宮学士といって皇太子様にお仕えして学問をお教え申し上げる、大切なお役目を仰せつけられました。阿呼は月日のたつにつれて、かしこく、かわいくなりました。

父の是善も、阿呼の大きくなるのにまけてはならぬとばかり、学問にはげみ、お役目に精だしましたから、年とともに位はあがり、お役目も重くなっていきました。是善は、お役所から帰ると阿呼を呼びよせて、やさしい漢文をすこしづつ教えました。

お母さんはお母さんで、阿呼にいろいろな話をしてやりました。中でも、お母さんのよくしてくれたのは、阿呼の家のことでした。お母さんの話してくれた菅原の家のことというのを、とりまとめて申しますと、あらまし次のようなことでした。

この家が菅原といいだしたのは、そんなに古いことではありません。都はまだ奈良にありましたが、いまから数えると、まだ七十年ぐらいしかたちません。それまでは何といっていたかと申しますと、 土師氏(はじうじ) といっていたのです。

昔、垂仁(すいにん) 天皇の御代、 當麻蹴速(たいまのけはや) とすもうをとって、見事 蹴速(けはや) をうち負かしたのが、 野見宿禰(のみのすくね) という人だったことは、誰でも知らぬ人はありません。その野身宿禰は、また、殉死(・・・死んだ主君のあとを追い、臣下が死ぬこと。 )する者の代わりに、 埴輪(はにわ) というものを作って殉死にかえるよう朝廷に申し出て、それから埴輪がはじめられたと伝えられています。

このことからして宿禰の子孫は、代々朝廷にお仕えして、お葬式のことをつかさどったと申します。お葬式のことと申しますと、お墓にうめる埴輪や皿や高杯(たかつき・・・食物などを盛る台)などの土器をも、作らねばなりません。そこで 土物(はにもの) 作りという意味で、宿禰の子孫は土師氏と呼ばれたのです。ですから、宿禰は、菅原家の遠い祖先にあたるわけです。

この宿禰から数えて十四代目の人を、 古人(ふるひと) と申しました。古人は、光仁天皇(桓武天皇の父君にあたらせられ、奈良時代最後の天皇)の御代の人でしたが、天応元年(781)ーーーその時、古人は 従五位下遠江介(じゅごいげとおたふみのすけ) でしたーーー朝廷にお願い申し上げて、これまでとなえてきた土師氏を、改めて、菅原と名乗ることの御許しを得ました。

古人は生まれつき頭がよくて学問もできるし、今こそ従五位下遠江介であるが、これからどんどん出世も出来そうだ。それなのに、葬儀係だ、土器作りだ、と一目で知れる土師氏をとなえねばならぬ。これはあまりおもしろくない。出世のさまたげにもなりそうだ。こう考えたので、古人は土師氏をやめたいと願い出たのでした。

では、なぜ、菅原氏ととなえようというのでしょう

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菅原道眞公のお話 目次
第一話 其の①男子生まれる【前編】(10/2) 第二話 其の①男子生まれる【後編】(10/3)
第三話 其の②学者の家【前編】(10/4) 第四話 其の②学者の家【中編】(10/5)
第五話 其の②学者の家【後編】(10/6) 第六話 其の③双葉芳し【前編】(10/7)
第七話 其の③双葉芳し【後編】(10/9) 第八話 其の④月の桂【前編】(10/11)
第九話 其の④月の桂【後編】(10/13) 第十話 其の⑤文武を磨く【前編】(10/15)
第十一話 其の⑤文武を磨く【後編】(10/17) 第十二話 其の⑥官途につく【前編】(10/21)
第十三話 其の⑥官途につく【中編】(10/24) 第十四話 其の⑥官途につく【後篇】(10/28)
第十五話 其の⑦母をうしなう【前編】(10/30) 第十六話 其の⑦母をうしなう【後篇】(11/1)
第十七話 其の⑧文章博士【前編】(11/3) 第十八話 其の⑧文章博士【後篇】(11/6)
第十九話 其の⑨白氏に同じ【前篇】(11/8) 第二十話 其の⑨白氏に同じ【後篇】(11/10)
第二十一話 其の⑩讃岐に赴く【前編】(11/12) 第二十二話 其の⑩讃岐に赴く【後篇】(11/15)
第二十三話 其の⑪阿衡の儀【前編】(11/17) 第二十四話 其の⑪阿衡の儀【中編】(11/19)
第二十五話 其の⑪阿衡の儀【後編】(11/21) 第二十六話 其の⑫春立ちかえる【前編】(11/23)
第二十七話 其の⑫春立ちかえる【後篇】(11/25) 第二十八話 其の⑬歴史家道眞【前編】(11/27)
第二十九話 其の⑬歴史家道眞【中編】(11/30) 第三十話  其の⑬歴史家道眞【後編】(12/2)
第三十一話 其の⑭遣唐使を停む【前編】(12/4) 第三十二話 其の⑭遣唐使を停む【中編】(12/7)
第三十三話 其の⑭遣唐使を停む【後編】(12/13) 第三十四話 其の⑮知命の賀【前編】(12/15)
第三十五話 其の⑮知命の賀【後編】(12/18) 第三十六話 其の⑯天皇の師伝【前編】(12/21)
第三十七話 其の⑯天皇の師伝【後編】(12/26) 第三十八話 其の⑰大和への旅路【前編】(H.17/1/24)
第三十九話 其の⑰大和への旅路【後編】(1/24) 第四十話 其の⑱右大臣に昇る【前編】(1/29)
第四十一話其の⑱右大臣に昇る【後編】(2/9) 第四十二話其の⑲御衣を賜わる【前編】(2/14)
第四十三話其の⑲御衣を賜わる【後編】(4/15) 第四十四話其の⑳禍きたる【前編】(4/20)
第四十五話其の⑳禍きたる【後編】(4/21) 第四十六話其の21 流れゆく身【前編】(4/23)
第四十七話其の21流れゆく身【後編】(4/25) 第四十八話其の22明石の驛【前編】(5/4)
第四十九話其の23明石の驛【後編】(5/10) 第五十話其の24筑紫への道(7/5)

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