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第六話
其の③双葉芳し【前編】
(かんばし・・・(1)上品なかおりがおだやかににおうさま。(2)心をひきつけるさま。魅力的だ。)嘉祥三年(八五〇年)、仁明天皇がおかくれになりました。その次に
この前の仁明天皇の御母にあたらせられるのは、
そのお祭が盛んになる、橘氏一族のために学館院が建てられる・・・・・、という具合でした。
ほかの氏の人達は、それをうらやましく思いながらみていました。これというのも、橘氏は天皇の御母の出られた氏だというので、朝廷から特によくしていただいたからです。
ところが、こんど御即位あそばされた文徳天皇の御母は、藤原氏からお出になったお方です。
「さあ、こんどはわれわれの番だ。」
と藤原氏の人々は、色めきたちました。
阿呼が六歳の時、文徳天皇の御即位がありました。
父の是善は、この頃、
阿呼の九歳になった時、是善は、大学頭になりました。是善は、忙しくなりました。大学のことは、何かとすべて
十一歳の時、阿呼は父に連れられて、
庭には梅の花が、高くかおりを立てていました。
忠臣は、二人をていねいに迎え入れました。彼は、年はまだ若いようですが、もうひとかどの学者らしく思われました。
大人どうしの話がしばらくつづいたのち、忠臣は、つと立ちあがって紙と筆とをもって来ました。
そして、サラサラと何か書きつけました。
見ていた阿呼にその紙を渡しながら、忠臣は、
「この題で、詩を一つ作ってごらんなさい。」
というのです。
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