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第十四話
その⑥官途につく【後篇】
道眞の勉強を続けている頃、父の是善は、『貞観格式』というものの編纂に忙しい日を送っていました。『貞観格式』の貞観というのは年号の名ですが、格式というのは法律の一種です。これを編纂するというのは、大へんむづかしいことで、法律にくわしくなければならず、漢学に深くなければなりません。ですから、格式編纂にあづかるといえば、学者として非常に名誉なことでした。
この『貞観格式』の編纂に、道眞の父もあづかったのです。これは大へんな仕事ですから、たくさんの学者が力をあわせたのですが、中でもこの是善と、それから大江音人(おおえのおとんど・・・音人は、初め大枝と書いていましたが、後に大江と字をかえたのです。)この二人は、特によくはたらきました。
いよいよ試験を受けることになりました。道眞の年は二十六です。この試験は、受験者に一様に同じ問題が出されるのではなく、一人一人に別の問題が出ますし、また試験官がまた別々です。道眞の試験官はあの
試験問題は二つあり、一つは、『氏族を明らかにす』というので、いま一つは、『地震を弁ず』という問題でした。平素の勉強にものをいわせるのはこの時とばかり、グングン答案を書きました。
もちろん道眞は合格です。
父は満足でした。母はとりわけよろこびました。十年前の元服の日のはげましを、十年間忘れずに勉強してくれたからこそと思えば、母は道眞にお礼をいいたいようでした。
対策に
学問に通じ、文章が上手でなければならぬことは、申すまでもありません。高ぶった様子は少しも見えませんが、役所に通う道眞の足どりの軽そうなのを見れば、やはり少しは得意なようです。
風を一杯受けて
大海原に進み行く美しい帆かけ舟。
ーーー人々は道眞の身を、こんなにたとえて考えました。

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