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第三十話
その⑬歴史家道眞【後篇】
『日本書紀』『続日本紀』『日本後紀』『続日本後紀』『文徳実録』の五つをもとにして、この『類聚国史るいじゅこくし』は作られたのでありますが、この五つの国史に、いま一つ『三大実録』というのを加えて、あわせて六つの国史を『
このことが始められますと、またもや、道眞もそのことにあづかるようにとの、御命令を受けました。これは中々大事業で、長い年月かかりましたが、其の間に、道眞の実の上に大変阿呼とが起こって、『三代実録』の出来上がらぬ前に、道眞は、このことから手を引かねばならなかったのは、残念なことです。
しかし、この『三代実録』が、勅命による国史編さんの最後であったことを思えば、その最後の歴史編さんに加わった道眞は、学者としてしあわせだったと、いわねばなりません。
『三代実録』の次にも歴史編さんが計画されましたが、これはついに出来上がりませんでした。その頃はもはや藤原氏のみ栄えて、朝廷の御威光は世に行われず、漢文学振るわなくなっていましたから、日本歴史を漢文で書くという歴史編さんが、つづけられなくなってきたのもやむを得ません。
天皇の思し召しによる国家の事業として、日本の歴史を作るということは、以後命じの御代を迎えるまで、全く絶えてしまいました。
『類聚国史』といい、『三代実録』といい、そのどちらも我が国の歴史書として、忘れられぬ大切なものでありますが、それは道眞の力によることが多いのです。
道眞の名は、歴史家としても、忘れられてはなりません。
4日に続く
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